LIGOが検出した重力波とは!ブラックホールって何?かぐらの観測に期待
歴史的大発見として話題になっている重力波。
アメリカの観測装置LIGO(ライゴ)が、世界で初めて検出するという偉業を成し遂げました。
重力波とは何?
発見して何か良いことあるの?
宇宙に関することって説明が難しくてよく分からないことが多いですよね。
ということで、自称宇宙好きの僕が重力波について理解していることを、難しい言葉を使わずに(ていうか使えません…笑)語ってみたいと思います。
そもそも重力とは?ブラックホールって何なの?
重力波の説明をするには、まず重力について理解する必要があります。
理解といっても難しい言葉や数式を覚える必要は全くなくて、頭の中でイメージするだけで大丈夫です。
重力と聞いて思い浮かぶのは、りんごが地面に落ちるシーンではないでしょうか。
それは地球の重力がりんごを引ったからなんですが、じつは重力はどの物体も持っている力なんですね。
ですので、地球だけじゃなくてりんごにも重力はありますし、もちろん僕たち人間にも、今あなたが見ているパソコンやスマホにも重力はあります。
本当は「重力を持つ」という言い方は正確ではないのですが、そう表現した方がイメージしやすいかと思います。
要するに重さのある物は全て重力があるということなんですね。
重力の強さは物質の重さに比例します。
人間やりんごが持つ重力は、ものすご~く小さすぎて感じる事ができません。
地球くらい重たくなると、僕たちが感じるほどの重力を持つ事ができるわけです。
手に持ったりんごを放すと地面に落ちますが、それは人間の重力よりも地球の重力の方が強いからなんですね。
月の重力は地球より弱く6分の1ほどしかないと言われていますが、それは月の方が地球より軽いからです。
6分の1ということは地球で30キロの物は、月に持って行くと体感が5キロになっちゃうってことです。
ということは、地球より重たい太陽の重力はどうでしょう?
もう答えは分かりますよね。
答えは太陽の方が地球より重力が強いです。
ちなみに、太陽の重力は地球の約28倍だそうですよ。
そしてもう1つ重力には大切な性質がありますので、それも一緒に覚えてくださいね。
それは体積が小さい方が重力が強いという性質です。
どういう事かと言うと、重さが同じでも大きさが違う物質が2つある場合は、小さい物質の方が重力は強くなります。
例えばもし地球と月が同じ重さの場合、重力が強いのは小さい月の方だということになりますね。
ということで、重力についてのポイントは以下の3つです。
・重力はどんな物質にも存在する。
・重力は物質が重いほど強くなる。
・重力は物質が小さいほど強くなる。
ブラックホールって何?答えは重たい星の死骸
今回LIGOは重力波を検出するために、2つのブラックホール同士の衝突を観測しました。
ブラックホール自体は結構有名な名前だと思うのですが、それがどんな物かを理解してる方は少ないのではないでしょうか。
ブラックホールの正体を一言で言ってしまうと「恒星の死骸」です。
恒星とは太陽のように自分で光り輝いている星の事なんですが、その恒星が燃え尽きて最期を迎えた時に残った残骸がブラックホールになるんですね。
ただしブラックホールになるには条件があって、太陽よりとっても重い恒星が燃え尽きた時しかブラックホールはできません。
太陽の場合は燃え尽きても、ただ芯のようなものが残るだけでブラックホールにはならないのですが、太陽の30倍以上の重さの恒星が燃え尽きた時は、残った芯が自分の重力のせいで潰れて小さくなり最終的にブラックホールになります。
先ほど、重力は物質が小さいほど強くなる性質があると説明しましたよね。
太陽が燃え尽きる時にできる芯も、太陽自身の重力で潰れて小さくなるため重力がとても強くなります。
その重力は地球の11万倍以上になるとも言われているのですが、それだけ燃え尽きた太陽は小さくなるということです。
でもそれが太陽の30倍以上の重さの恒星の場合、残る芯もとっても重いため重力がとてつもなく強くなってしまいます。
そのため潰れた芯は自分の重力に耐え切れず更に潰れてしまうわけです。
そうなると更に重力は強くなるためますます潰れていき、最後には体積は限りなく小さく重力は限りなく大きい「何か」になってしまうわけです。
その「何か」がブラックホールの正体だったんですね。
ブラックホールのあまりにも大きな重力は光も吸い込んじゃうなんて表現はよく耳にすると思います。
実際ブラックホールの重力からは、光でさえも逆らうことができません。
ですので光を発することもないため、ブラックホールを観測しようとしても普通には見ることができないんですね。
その性質をイメージして付けられたのがブラックホールという名前になります。
ですのでブラックホールは色が黒いわけでも、穴が開いてるわけでもなく、すご~く小さくてすご~く重たい恒星の残骸なんですね。
ただ現代の理論では説明できないため謎の存在とされてるだけなんです。
LIGOが検出した重力波とは?これもイメージが大切!
今回LIGOが見つけた重力波は、約100年前にアインシュタインが予言したと言われています。
アインシュタインは宇宙の仕組みを解き明かす相対性理論というとっても凄い理論を考えた偉い人です。
そのアインシュタインが自分の理論に照らし合わせたら、重力波というものがあるに違いないと予想したんですね。
でもその時代には重力波を観測できる機械がありませんでした。
そこから約100年経った今年、ついに重力波の存在が明らかになったわけです。
重力波とはその名の通り、波のように重力が伝わる現象のことです。
どう伝わるかというと空間の歪みとして伝わってくるんですね。
例えば水の中に入った状態でじっとしていれば周りは何も感じませんが、もし激しく動きまわった場合その振動が水を伝って周りに拡散されますよね。
空間の場合も同じように凄い強い重力を持つ物質が激しく動くと、空間の振動が周りに拡散されるわけです。
凄い強い重力を持つ物質というのは先ほどのブラックホールのことなんですが、LIGOの観測では2つのブラックホールが近付き衝突する瞬間にでる空間の歪みを重力波として検出したんですね。
今回この重力波を観測できたことが何でそんなに大騒ぎになるかというと、光以外でも天体を観測する方法が見つかったからなんですね。
今まではブラックホールのような直接見えない天体を観測するには、その天体に物質が吸い込まれる時に発するガンマ線などを調べる方法しかありませんでした。
ですので、近くに吸い込まれるような物質のあるブラックホールしか調べることができなかったんですね。
でもブラックホール自身が発する重力を重力波として捉えることができれば、ブラックホールを見ることができるようになったのと同じようなものなんです。
それはブラックホールの観測だけにとどまらず、宇宙の始まりさえも調べられるようになると言われています。
重力波を観測できるようになったことは、宇宙の起源に迫ることができると言っても過言ではないんですね。
日本でも重力波を!かぐら(KAGRA)の観測に期待!
今回アメリカの研究機関が初めて重力波を発見したわけなんですが、実は日本でも重力波の観測機器をただ今建設中で、来年度末には本格稼働する予定だと言われています。
その機械はかぐら(KAGRA)という名前で、アメリカのLIGOよりも観測能力は上なんだそうですよ。
LIGOとの違いは場所と温度です。
LIGOは地上に建設されたのに対して、かぐらは地下に埋められているため地震による影響を受けにくいんだとか。
さらにかぐらは観測に必要な鏡を超低温に冷やしているそうで、それにより微妙な原子の振動を抑える効果があるそうです。
まさに日本人ならではの気配りを感じるかぐらの特徴ですよね。
観測自体はLIGOに先を越されてしまった形になりましたが、日本のかぐらが本格稼働すれば更に詳しい観測が可能になると思います。
もちろん大切なのは競争ではなく協力ですので、日米が合同して新たな発見に繋がることを期待したいですね。